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 死ぬほど蒸し暑いと嘆く熱帯夜において、しかし死ぬはずのない温度の中でベッドに寝そべる。

 キャミソールから晒した腕は海で焼けた赤黒さを月明かりに浮かび上がらせている。日焼け止めの無力さを嘆くほど肌に未練はない。

 熱を持った露出を、網戸から抜けた風が涼しく撫でる。

 知らぬ間に、網戸に隙間が出来ている。

 いつもそう、閉めたはずの網戸を、少しずつ、少しずつ、風はずらしていって、1センチに満たない隙間を作り上げて。

「まだ、起きてるの」

 なよやかな声がする。

 滑り込むようにやって来る、彼女は音もなく傍へ近寄ってくる。

「また来たの」

 正直、うんざりしたように答えると、それが尚嬉しいかのように擦り寄る。

 振り払おうにも実態の掴めない、掴ませない、そんな女だ。

 それでも気配だけはぞわぞわと、この暑さの中鳥肌を立たせる。そんな触れ方をする。

「いい加減にしてって言ってるじゃない」

 苛立たしげに言っても、彼女は細く高く微かに笑う。

「仕方が無いじゃない……あなたが起きていて、呼吸をしている限り、来ずにはおれないのよ」

「やめてよ。子連れの人妻に興味は無いって言ったじゃない」

 彼女はかまわず近付いて、四肢を開いて唇を這わせる。

 ああ、ぞくり。

 ざっと振り払うと、一瞬の後に彼女は離れ、しかし諦めがつかないようで、彷徨うように困った顔をしてみせる。

「私一人の躰じゃないのよ……わかってるんでしょう? もうちょっと優しくしてくれてもいいんじゃないの?」

 ある意味では疫病神である、そんなものの子供など知ったことではない。

 触れた場所から毒が回る。それは彼女のことを永遠に忘れさせまいとする呪いのようで。

 思わずその場所に爪を立てる。

 蚊の鳴くような声で彼女は笑う。

「ふふ、もう駄目よ、貴女は私から逃げられないの。そして私の餌になるのよ……」

 これ以上、彼女の食い物になるのはごめんだ。

 口接ける彼女をとらえると、手を下す事を決断する。

 パン。

 あっさりと、味気の無い音が響いた。

 赤い血が広がる。

 死して尚、口接けの痕はじくじくと――。









 ……(笑)

 さて、「彼女」は何者でしょう。

 ヒント。「蚊の鳴くような声」。

 ……まんま(笑)
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