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2005.11.02 Wed 04:16:13
日が暮れてから一人でリニアに乗る時は、かならず先頭車両の一番前、正面の窓が目の前にある席に座る。
運転席を除けばそこがリニアの一番先頭で、そして夜を抜けていく車両の目を体感できる。
その特等席は二席しかなく、万博が終わってからは大抵ガラガラなその車両の中で見知らぬ人と隣り合わせになることは殆ど無いため、その二席分を悠々と独り占めして座る。
勿論先に座られている場合もあるが、そんなことは滅多に無い。
日が暮れてから乗るいい歳した大人が、「僕一番前がいい!」なんてガキのような真似が出来るほどこの街は素直ではない。
そこに滑り込む優越感といったら無い。
どいつもこいつもくだらない羞恥心とプライドで損をしている。
藤が丘から出発するリニアは次の駅まで地下を走る。灰色のトンネルから真っ暗な地上へ出る爽快感。地上は明るく空は黒い。星は無い。
徐々に上昇していく線路と離れていくネオン。目の前は真っ暗で、硝子が鏡となって車内の様子を映しているが、それを通り越してその向こうの夜を見る。
地下鉄に比べて本当に雑音が少ない。
走り出す時、電磁石が起動する音だけが僅かに耳に残る。
啼いているようだ。
先頭に乗って線路を見てみないと意外と気付かないが、リニアの線路は蛇行している。上下左右に歪んでいて、そこだけ見ると鈍いジェットコースターと言えなくも無い。
最低限の装飾の、寂びれたジェットコースターが夜を走る。ただしスピードは出ているのにスピード感は無く、揺れも感じないから衝撃も爽快感も無い。
ただ、この席に座る者だけが、本人の感性に則ってそれを感じることが出来る。
目下に道路わきの灯りが映る。進むにつれてそれは激減していく。道路を走る車の数も、すぐ隣かと思えば下に行ったり上に行ったりする高速道路を走る車も減っていく。
バンパーのライトが今まで自分が通り向けてきた方向へ去っていく。街の灯りのある方へ。夜から逃げるように。
それを見送りながら、さらに夜の深みへと走る。
街灯だけが一定の間隔でオレンジ色に光っている。
暗闇の中に、トンネルから抜けた時から遠くで見えていた赤い光が近付いてくる。
解体途中の万博会場の大観覧車。その警報灯が丸く円を描き、赤く光っている。
ワープホールの外円のようだ。
このままあの中へ走り込んだら、何処か次元の違う宇宙へ出るのかもしれない。
だが残念ながらそれを横目に、白い光の満ちた駅に滑り込む。
周囲の灯りは本当に少なくなっている。
また走り出すリニアの目と同調していると、その先に大きく右に蛇行して、しかもやや登り気味の線路へ続く。
その一画は今までとは比べ物にならない暗闇が待ち構えている。
右手には万博会場。祭りの後の侘しさと寂しさが一緒くたになった虚ろな影が、夜空に溶け込んでいる。
左手には鬱蒼とした森と池があり、何故かそこだけ街灯が無い。
そして道路を真下に位置して、線路はその先へ伸びている。
光が見えない。
蛇行する線路の先すら見えない。
登れば降る。故に登りきった一瞬、リニアのライトが線路の先を照らせなくなる。
そのまま夜に飛び込めば、空に飛んで行ける錯覚。
まるで出来の悪い銀河鉄道だ。
周囲は暗闇。星は無い。
二人分の席をひとりで。
カンパネルラは隣にいない。
それでも悠々と期待する。
道化のような姿で、いつか自分があの魔女のようになれるかもしれないと。
残念ながら線路は続いている。その先が途切れて宇宙へ飛んで行けるかもしれないなんて幻想を本気で考えるほど素直な歳じゃない。
結局自分もくだらない現実感と諦めで損をしている。
でも想像をやめない自分が好きだ。それを損だとは誰にも言えない。
街灯が戻ってきて、道路がやや左下を走る。
線路にライトが当たって、白い光で満ちた駅が近付いてくる。
先頭車両は駅にそっぽを向いてその先の夜を見ている。
暗闇が広がる。地上の星すら殆ど無い。
たまに行き交う車のライトを流れ星に見立てて出来の悪い銀河鉄道は走っていく。
その先の夜を私はまだ知らない。
運転席を除けばそこがリニアの一番先頭で、そして夜を抜けていく車両の目を体感できる。
その特等席は二席しかなく、万博が終わってからは大抵ガラガラなその車両の中で見知らぬ人と隣り合わせになることは殆ど無いため、その二席分を悠々と独り占めして座る。
勿論先に座られている場合もあるが、そんなことは滅多に無い。
日が暮れてから乗るいい歳した大人が、「僕一番前がいい!」なんてガキのような真似が出来るほどこの街は素直ではない。
そこに滑り込む優越感といったら無い。
どいつもこいつもくだらない羞恥心とプライドで損をしている。
藤が丘から出発するリニアは次の駅まで地下を走る。灰色のトンネルから真っ暗な地上へ出る爽快感。地上は明るく空は黒い。星は無い。
徐々に上昇していく線路と離れていくネオン。目の前は真っ暗で、硝子が鏡となって車内の様子を映しているが、それを通り越してその向こうの夜を見る。
地下鉄に比べて本当に雑音が少ない。
走り出す時、電磁石が起動する音だけが僅かに耳に残る。
啼いているようだ。
先頭に乗って線路を見てみないと意外と気付かないが、リニアの線路は蛇行している。上下左右に歪んでいて、そこだけ見ると鈍いジェットコースターと言えなくも無い。
最低限の装飾の、寂びれたジェットコースターが夜を走る。ただしスピードは出ているのにスピード感は無く、揺れも感じないから衝撃も爽快感も無い。
ただ、この席に座る者だけが、本人の感性に則ってそれを感じることが出来る。
目下に道路わきの灯りが映る。進むにつれてそれは激減していく。道路を走る車の数も、すぐ隣かと思えば下に行ったり上に行ったりする高速道路を走る車も減っていく。
バンパーのライトが今まで自分が通り向けてきた方向へ去っていく。街の灯りのある方へ。夜から逃げるように。
それを見送りながら、さらに夜の深みへと走る。
街灯だけが一定の間隔でオレンジ色に光っている。
暗闇の中に、トンネルから抜けた時から遠くで見えていた赤い光が近付いてくる。
解体途中の万博会場の大観覧車。その警報灯が丸く円を描き、赤く光っている。
ワープホールの外円のようだ。
このままあの中へ走り込んだら、何処か次元の違う宇宙へ出るのかもしれない。
だが残念ながらそれを横目に、白い光の満ちた駅に滑り込む。
周囲の灯りは本当に少なくなっている。
また走り出すリニアの目と同調していると、その先に大きく右に蛇行して、しかもやや登り気味の線路へ続く。
その一画は今までとは比べ物にならない暗闇が待ち構えている。
右手には万博会場。祭りの後の侘しさと寂しさが一緒くたになった虚ろな影が、夜空に溶け込んでいる。
左手には鬱蒼とした森と池があり、何故かそこだけ街灯が無い。
そして道路を真下に位置して、線路はその先へ伸びている。
光が見えない。
蛇行する線路の先すら見えない。
登れば降る。故に登りきった一瞬、リニアのライトが線路の先を照らせなくなる。
そのまま夜に飛び込めば、空に飛んで行ける錯覚。
まるで出来の悪い銀河鉄道だ。
周囲は暗闇。星は無い。
二人分の席をひとりで。
カンパネルラは隣にいない。
それでも悠々と期待する。
道化のような姿で、いつか自分があの魔女のようになれるかもしれないと。
残念ながら線路は続いている。その先が途切れて宇宙へ飛んで行けるかもしれないなんて幻想を本気で考えるほど素直な歳じゃない。
結局自分もくだらない現実感と諦めで損をしている。
でも想像をやめない自分が好きだ。それを損だとは誰にも言えない。
街灯が戻ってきて、道路がやや左下を走る。
線路にライトが当たって、白い光で満ちた駅が近付いてくる。
先頭車両は駅にそっぽを向いてその先の夜を見ている。
暗闇が広がる。地上の星すら殆ど無い。
たまに行き交う車のライトを流れ星に見立てて出来の悪い銀河鉄道は走っていく。
その先の夜を私はまだ知らない。
……まぁ、気が向いたら乗ってみたらいかがですかという話で。
日が暮れるころに一人で乗る、ということが、この時期だから出来たんだけど、なかなかいいです。
かなり、色んな意味で飛べます。あの席は。
「Jack-o'-lantern」は書いた当時、まだリニモは出来てませんでした。略称が「リニモ」ってのも知らなかった。「リニモ」より「リニア」の方がいいと思うのは私だけですか。
席とかも全部想像で、「地下鉄とおんなじ並びだろー」とか勝手に思ってた。
……向かい合わせかよ……いやそれはそれでいいけど……。
ですので「瀬戸環状線」なんつーものは有りません(笑)ま、ちょっと未来の話だと思っていただけたら。
そして、これが一番驚きなんですが、まさかリニモが日常的になる暮らしを自分がするとは思ってなかったんですよ当時。
……ようするに、進路決まってなかった(笑)
びっくりです。
そんなこんなでサイト始めました。
拙い上に作品の少ないサイトですが、どうぞよろしく。
日が暮れるころに一人で乗る、ということが、この時期だから出来たんだけど、なかなかいいです。
かなり、色んな意味で飛べます。あの席は。
「Jack-o'-lantern」は書いた当時、まだリニモは出来てませんでした。略称が「リニモ」ってのも知らなかった。「リニモ」より「リニア」の方がいいと思うのは私だけですか。
席とかも全部想像で、「地下鉄とおんなじ並びだろー」とか勝手に思ってた。
……向かい合わせかよ……いやそれはそれでいいけど……。
ですので「瀬戸環状線」なんつーものは有りません(笑)ま、ちょっと未来の話だと思っていただけたら。
そして、これが一番驚きなんですが、まさかリニモが日常的になる暮らしを自分がするとは思ってなかったんですよ当時。
……ようするに、進路決まってなかった(笑)
びっくりです。
そんなこんなでサイト始めました。
拙い上に作品の少ないサイトですが、どうぞよろしく。
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