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 林檎邪魅〜。

 杏子邪魅〜。

 蜜柑邪魅〜。

 苺邪魅〜。



 えー。そういうわけで(どういうわけで)、読み終わりました。



 京極夏彦『邪魅の雫』。

 新書サイズ。厚さ4,2センチ。本文813ページ。



 発売日の朝10時に本屋に駆け込み、11時に家に帰り、そっからぶっ続けで読み続け、読み終わったのが翌日の朝5時半。

 つけてもらったブックカバーは一日経つ前に既によれよれで、表紙のほうの折り目は既に破れて表紙見えてます。

 いや、もちろんその間、家事雑事、ご飯におやつ、トイレにお風呂と何だかんだやってましたが。

 ベッドに寝そべりクッションと枕を抱えていくら楽な姿勢を作って俯せで読んでいようと、14,5時間この分厚いのを抱えていたら肩はこるわ腰は痛いわ目はしょぼつくわでクライマックスはなんかもうそっこらじゅうずきずきしながら読んでました。

 もちろん心もずきずきっていうかどきどきっていうかそんな。



 そんなわけで感想です。ものっそネタバレしてます。

 感想っていうか、自分で整理つけたいが為に書いてたりっていうかまぁ何か不埒な目でも勿論見てるので、しょーもない暴走してますからほっといてやってください。


 ロイヤルバカオロカデリシャス――――!!!!!!!!

 (↑今回の榎木津迷言大辞典のトップに躍り出た台詞)



 初っ端からすいません爆笑してました。15時間の内5分は確実にこの台詞のせいで潰れました。何がしたいんだあの人は(あの人=京極先生)



 えー、今回は。

 今回は、ていうか陰摩羅鬼の時もそうだったんですが。

 憑き物落としの前に犯人が判っちゃってびっくりです。

 ……いや、犯人ではないのかあれは。黒幕的な?堂島大佐的なあれなのかな。

 ようするに、あの女性が全員同一人物だというアレです。叙述トリック……というより供述トリックなのかな。嘘ついてただけっていう。

 勿論、あの連続殺人というより連鎖殺人、毒薬をバトンにしたリレー殺人と言った方が正しいか、あれは読んでればきっと誰でもわかる殺人の順番でしたね。



 話としては、絡新婦に近いものを感じるんですが、作中でも言っていたように「絡新婦ほど精密ではない、下手を打っている感じ」でしたね確かに。

 前作の陰摩羅鬼が、多少なりとも姑獲鳥へのオマージュを含んでいて、それは妖怪的にも「鳥」の関連もあるんだけれども、だから今回は「なんかよくわからん」妖怪として邪魅は魍魎へのオマージュを含んでいるのかな〜……と思ったら全然だった(笑)いや、あの第十二研究所は関わってるけども。だって「邪魅は魑魅の類なり」ってんでしょうから。



 今回は、青木刑事がかなりの男前で、益田君が八割り増しにへたれで、関口君が無駄にかっこよく、榎木津が奇妙に情けなかく、そして京極堂が腰を上げるのが遅かった……というか別に来なくても良かったんじゃないかという暴言を吐きそうになった(笑)。いや、そんなことは無かったけどね実際。最後の犯人を生きて捕らえるには京極堂が来なくちゃ無理だったし。

 どうも、前回の陰摩羅鬼もそうですが、関口がまともになってきたなぁと……いや、違うな、まともにはなってないか。まともではないのは変わってないけど、まともではないということを受け止め切れている感がある。まともではない、だからどうしたらいいのか、そういうことを考えているんだろうなぁ。由良伯爵の影響だと作中で彼は漏らしてたけど、確かにそうかもしれない。

 今回は、「邪魅」たる妖怪の説明を京極堂じゃなくて関口が担当してた……そのすごいアバウトな語り口じゃ邪魅というのはどういう妖怪なのかは解り辛いんだけど、この「邪魅」に限っては京極堂ではなく関口が語る方が良かったんだろうなぁ。ようするに、「よくわからん」妖怪なので、説明しようにもそう長々と語る内容も無いようで。洒落ではありません(笑)。

 あと、自分を「邪悪だ」と呟く関口がこれを覚えていたという時点で関口の自覚というのが浮き彫りにされてんのかなと思ったり。

 珍しく聡明な関口が、珍しく暗い益田に「邪悪と善良は同じものさ」と言ったり、珍しく強気な関口が、珍しくつまらなそうな榎さんに「僕にも言えないことなのか」と糾弾したり、無駄にかっこよかったんだけど、というか「邪悪」だという自覚を誰より解っている関口は、犯人たちの感情をつぶさに受け止めてしまう性質なんだなぁとか思ってみたり。



 今回は、益田が関口に、青木が京極堂に、とそれぞれの師匠(?)をずらして若者サイドが頑張ってたけど残念ながら鳥口君は登場しませんでした全く(笑)

 相変わらず腰の重い陰陽師は、今回出番が少なくて残念。勿論、ワンシーンしか出てこない木場も木場で寂しいんだけど、通じて青木が木場のことばっかり師事しているのですげぇ可愛いです青木(笑)犬コロです。

 美味しい所を掻っ攫っていくと評判の大鴉、あるいは黒衣の死神ですが、今回はどうも遅かったんではないかと思ったりしますが。だって残り200ページ切ってまだ腰上げてこないって!(笑)

 榎さんも相変わらず暴走自転車という表現では恐ろしく生ぬるい暴走列車くらいでしたが、いつもの暴走戦闘機みたいなノリは無かったなぁ。口は相変わらず暴走旅客機でしたが。全力大磯だ!っつってたし。何だよ全力大磯って(笑)

 まぁ、今回は元カノが原因だったしな。ていうか榎さんが原因なんじゃないか見方を変えれば。いや榎さん全然悪くないけど。彼女にとっての雫が榎さんだったんだなぁ。

 しかし、榎さんに縁談話って、読んでるこっちもひっくり返ったわ!誰があの人の奥さんやるんだよ!彼女ならわかるよ何人いてもいいよ!でも奥さんて……いや……。

 今回の話で「榎木津礼次郎と縁談をすると不幸になる」って伝説がひっついたかな。どうかな(笑)榎木津ファンにとっては悲鳴を上げたくなるようなエンディング……だったのかどうなのか。



 えー、ロイヤルバカオロカデリシャス略してナキヤマこと益田龍一氏ですが、意外と苦労人で色々考えてる人でした。ケケケ、とか笑っちゃいるけど。実は計算ずくな。道化ってほんと大変だぜという典型みたいな人だな。でも榎木津には見破られてる感じで。

 まぁ、可哀想なことに、まともな探偵業をやっているせいで榎木津の従兄弟(!?)から縁談話(!!?)に関わる異常の調査とか頼まれちゃってやっぱり苦労人な益田でした。

 関口に惚れ直してる彼が可愛かった(笑)

 そして新キャラ・蠍の郷島。

 ……ま、またすげーの出てきたなオイ。凶悪面は木場と張るんですってよ奥さん(誰)。公安委員ですって!京極堂と戦時中の知り合いですって!なんだこの美味しいキャラはァ!

 でもそんな蠍と張り合っちゃう青木が男前でした。勿論京極堂の受け売りのおかげですが(笑)

 あ、そうそう、山下さんがすっげーかっこよかった。今回のMVPは山下警部補です間違いなく。なんかもう最後とか頑張りすぎて死んじゃうんじゃないかと思った。お疲れ様でした山下さんっ!!鉄鼠の時のヘボヘボなアンタとは大違いですよ!ハゲも輝いてるよ!ていうかむしろスキンヘッドにしたらいいよ!あ、したら川新と被るから駄目なのか(そうか?)



 今回は、いつものレギュラーの活躍が少ない……というのも、それぞれの、被害者加害者脇役、彼らの世界が、世間が、個々で動いているが故の構成だったんだろうな。

 彼らは世界の中心に自分がいると思ったり、世界は自分と対等だと思ったり、自分が死ねば世界が終わると思ったり、自分が受け入れないものは世界にとって異物だと思ったり、自分自身が世界だと思ったりして、それは考えようによってはそうなんだろうけど、でも実際はとてもちっぽけな存在だから、ひと雫の毒を手に入れることで、殺人に突き動かされたりして。

 理解し難い、のは理解しようとしないからであって、世界に取り込めなければそれこそ『不思議』になってしまう。

「世界には不思議なことなど何も無いのだよ、関口君」と陰陽師はいつも通りの台詞を吐くけど、今回はそれこそ、理解し難い複数の世界を繋げる為の憑き物落としであったんだなぁと思ったのでした。



 姑獲鳥は「母」、魍魎は「命」、狂骨は「神」、鉄鼠は「仏」、絡新婦は「女」、塗仏は「家族」、陰摩羅鬼は「死」だと勝手に思ってますが、邪魅は「世間」あるいは「世界」だったのかもしれないなぁ、と結構そのまま考えました。

 以上!
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